2011年7月4日月曜日

奇跡のひとつ

出来上がった本をご覧になって、漫画のテイストとは風合いの違う 凄く綺麗な各尊のカラーイラストが目を魅くと思います。

そのイラストは悟東の同年齢の友人の山本貴嗣氏 が1ヶ月半全精力を傾けて描いてくださったものです。(尊のお顔は悟東が調整しております。)

山本貴嗣氏は業界でも屈指の絵の上手い漫画家で、そのこだわり方は驚く程で、アシスタントさんも技術が未熟だとかなり許せなくなってしまうタイプのお方で、今現在はアシスタントさんを全く使わず、ご自身一人で漫画の制作の全ての行程をこなしていらっしゃいます。

山本氏とはよくスカイプで話しをしながらお互いそれぞれの作画をしていたりするのですが (バーチャルスタジオ的)、 丁度この本の企画が通った頃、やはりスカイプでその話しもしていて、各尊のリアルイラストの部分の話しをしていたら…

山本氏「あすかさん、リアルな仏さまの身体を描くの大丈夫ですか?」

悟東「う〜ん、下絵の時にデッサンを見て頂けたら嬉しいですが…見てラインを直して頂けたらホントに有り難いですねぇ」

山本氏「ええ、時間がある時でしたら、それぐらいの事でしたらいたしますよ。」

悟東「ありがとうございます!」

[ …で、しばらくして山本氏がめずらしく仕事の狭間で1週間位の時間が取れると言う事になって ]

山本氏「時間が1週間あれば、私はもう少しお手伝い出来ますよ。」

悟東「それは有り難いです!では私の絵の後ろにリアルで躍動的な仏さまの絵をザックリと描いていただけませんか?」

山本氏「やりましょう!」

…で、作画が始まって悟東がかなり苦戦をしているのを見ていられなくなった本当に善良な漫画家である山本氏は裏にはる絵ではなく、メインの仏さまの身体を描いてくださる事になたのです。しかも顔は悟東が直すという事も了承の上で…。
普通だったら有り得ない事です。
時間もザックリとした絵とは違ってかなりの時間も体力も神経も使います。1週間などでは決して出来ません。

結局、各尊のリアルなイラストに1ヶ月半の期間がかかり、何とほぼぴったりとその期間、山本氏には奇跡的にその時間が作られていました。(先方の事情で連載開始の時期が先に延びたりと…)

そして、何よりありがたかったのは普通だったら割の全く合わない仕事なので、速攻で断るであろうマネージャーの山本氏の奥様が その仕事の後押しをして下さった事です。

悟東が至らないばかりに、山本氏にはかなりのご無理とご迷惑をおかけしたと思います。
悟東としては感謝とお詫びしかないのですが…。(悟東は本来ギャグ漫画家なので、リアルな絵は得意ではなかったのです。)

でも、今にして思うと、仏様がたが リアルなイラストを山本貴嗣氏に描いてほしかったのではないかとも思うのです。

そうでなければ、あのお忙しい漫画家がちょうどその時に1ヶ月半も時間が取れるわけがないと思うからです。

 山本貴嗣氏は特定の宗教を持っているわけでは決して有りません。

しかし、崇高な存在への敬意は決して忘れない方ですし、先祖を始め自分を取り巻くあらゆる存在への感謝も忘れない方です。
そして何よりも、漫画(絵)を描くという事に関しては、まるで行者のように 真っ直ぐです。

そのような山本氏に仏樣がたは身体を描いてほしかったのではないだろうか…。

そんな風に思えてなりません。


(もちろん、悟東は自分の至らない部分は深く反省しています(T_T) )

追記:なぜ企画でリアルな仏さまのイラストを入れたか、気になるかもしれませんね。
それは、読者の皆様に、『仏さま』が『仏像』のように固く動かないイメージではなく、活き活きとまるで息吹を感じるような『動く仏さま』のイメージを持って頂きたかったからです。

さらに追記:山本貴嗣氏のブログでも『幸せを呼ぶ仏像めぐり』の事が書かれております。こちらも合わせ読むと上記の事がよくわかります。lhttp://atsujiya.blog96.fc2.com/page-1.html

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